堰堤どうでしょう 【野反ダム】
野反ダム (群馬県) 【のぞりだむ】

(2011年11月4日訪問)
【データ】
【独り言】
訪れたのは11月上旬。
野反ダムから山を下った場所にある『品木ダム』あたりでは紅葉真っ盛りと言った感じだったが、
車でわずか数十分上ったこの地では紅葉も既に終え、もはや冬支度モードだったという…。
山の気候を考えれば別に珍しい事でもなく至極当然の話かも知れないが、
平野部…普段山とは接点の無い暮らしを送っている自分にとっては、
これは本当に面白い現象に思えて仕方なかった。
同じ国内と言えど、環境が違えば四季折々の長さや移り変わりも異なる。
その分、旅先では自然の織り成す光景というものを大切に目に焼き付けておきたいと思う。
そしてこの美しい記憶を後世まで伝えていければと。
…うん。そういう夢を見た気がするんだよねー。
【どんなダム?】
『そこは自然豊かな大パノラマ! …でもお高いんでしょう?』
…はい。はっきり言ってここはお高いです♪
どれ位高いかと言えば、ダム堤頂部(天端部)の標高が実に1517メートル!
これは長野県・南相木ダムの1532メートルに次ぐ高さ…すなわち、
国内で2番目に標高の高い場所にあるダムだったりします!
もうね。ダムに向かう道中、気圧の関係で耳に違和感を感じること請け合い☆
日本の霊峰・富士山で例えるなら大体1合目後半~2合目くらいの標高です!
…え?「その例えだとあんまり高く感じない」って?
いやいや。富士山舐めんなって(笑)
あ。ちなみにここは草津温泉方面から国道405号線を北上した場所にあるのですが、
この道はいわゆる“点線国道”のため、新潟・長野方面から405号線を南下しても辿り着くことはできず、
しかも南から攻めても、
ダムまでのおよそ10キロ区間は冬季閉鎖となるので見学の際は要注意だったりします。
(尚、前シーズンの閉鎖はH23.12.01~H24.04.27だったそうです)
うーん。でもこの冬季閉鎖の期間だけを見ても、
“冬が早くて春が遅い”非常に標高の高い場所にダムがあるというのがよくわかりますよね。

※天端脇にあったダム概要板
…野反ダムは1956年に竣工した東京電力が管理する発電専用のロックフィルダム
まぁ東電管理ということで周辺の雰囲気などは“大味で味気ない”感も否めませんが、(まぁ一概には言えないけど(汗))
ダムサイトにて唯一ダムの情報を得ることができたのはこちらの看板。
さて。ではこの看板を見て面白いと感じた箇所ですが、
自分としてはずばり“取水河川名”と“ダム型式”の項だと思います。
型式については後述させて頂くとしてその河川名ですが、このダムってのは信濃川水系なんですね!
…てことはここのダムの水がいずれ辿り着く場所は日本海。
群馬県のダムと聞くとどうしても利根川水系…太平洋に注ぐイメージが離れないのですが、
これは目から鱗と言うか非常に面白い話だと訪問当時は感じた記憶があります。
ちなみに野反ダムまでの道中で通りかかる『白砂ダム』、
そこから距離もさほど離れていない場所にある『品木ダム』などは利根川水系に属するダムだったり…。
ダム的な地理で言うと、ちょうどこの辺りの山腹が“北日本と東日本の境界”なのでしょうか?
いやはや。“群馬にありながら信濃川水系”…ちょっと不思議な感じもしますよね☆
(と言ってもほぼ長野との県境なんだけどね…)

※堤体(下流側)の様子
…本体表面を保護する岩はやや小ぶり。ゴロゴロと不規則に積まれたその姿は男らしさすら感じます。
こうして見るとロックフィルダムにしては割と急勾配ですよね。
このダムは歴史も古く、発電目的専用としては国内初のロックフィルダムという話です!
いやー。国内初の試みをこんな標高の高すぎる場所でやっちゃう訳ですから…、
建設当時は相当気合が入っていたのでしょうね。先人の知恵と努力にはただただ驚かされるばかりです。

※堤体(上流側)の様子
…上流面はこんな感じでコンクリートによる遮水施工がなされていました。
と、しれっと書いてしまえばそれまでなのですが、実はこれこそがこのダムの面白い所でもあったり!
一応大まかなダム型式を言えばここは(ロック)フィルダムなのですが、先程の概要板にあったよう、
もっと踏み込んだ言い方をするとここは『鉄筋コンクリートフェイシングロックフィルダム』
…実はこの工法は非常に珍しいもので、なんと国内のダムとしては4基しか存在していないそうな!
そのうちの1基である岩手県の『石淵ダム』は2013年、胆沢ダム完成に伴い水没してしまいますから、
本当に滅多に見ることはできない希少価値のあるダム型式だと思います。

※余水吐の様子
…いつも思ってるんですけど、通常のダムでは“洪水吐”と呼ばれる物が、
発電用ダムだと“余水吐”と呼ばれる(傾向にある)のは、一体どうしてなんでしょうかね?
むしろ余水吐という言い方の方がわかりやすいと個人的には思うのですが(笑)
あ。型式は一般的なゲートレス…“自然越流式”で仕組みとしては、
ここから水が溢れーの…

いったんトンネルに入りーの…

…流れーの。
…うん。トンネルの中に“異次元空間に繋がる何か”でもない限り単純に言えばこんな感じでしょう。
あと。ダムの規模の割りに水路が太い印象があったんだけど、
これは雪解けの水が多く流れてくるからなのかな?
調べてないからちょっとわからないのですが、、
冬季閉鎖されるような場所ですから、冬場の降雪というのは恐らく凄まじいものがあるのでしょう…。

※天端の様子
…天端は大型車通行不可とのことですが、
ダムの数百メートル手前に登山者用の駐車場があるのでそこから歩いてくるのが良いと思われます。
ダム周辺には登山道やキャンプ場などもあり、
天端上はしばしばハイキングなどをされている方たちの往来があります。
また。遊歩道もしっかり整備されていて、夏から秋にかけては300種以上の高原植物が咲き乱れるそうなので、
秋の行楽シーズンにはもってこいの場所と言えるでしょう☆

※ダム湖(野反湖)の様子
…野反湖の外周はおよそ12キロ。
ダム見学がてら軽い気持ちで突発的に一周歩くにはそれなりに苦労するかもしれませんが、
きちんとハイキング目的で行くならとても気持ちいい水辺の散歩を楽しめること請け合いです♪
ちなみにここはダム湖百選にも認定。
まぁ実際に見たことがある方でしたらそれも当然頷ける結果ではないかと…。
高山地の雄大なパノラマの中、悠々と水を湛えるその姿は是非とも一見の価値ありだと思います!

…さて。ここまで紹介させて頂いた野反ダム。
『群馬なのに信濃川水系』
『国内で2番目に標高の高い場所にあるダム』
『発電専用のロックフィルダムとしては国内初』
『ロックフィルダムでは非常に珍しい表面コンクリート遮水工法』
もうそれだけでもお腹いっぱい…大満足のダム見学ができた訳ですが、
それでも今回の訪問で一番印象に残ったものはやはりこの、
野反湖が見渡せる風景自体だったのではないか…と思います。
それはまさにダムという建造物を感じさせない…むしろ飲み込まんばかりの大自然の光景!
ここは機会があれば是非とも一度は訪れて頂きたいダムだと思います。
そして見頃はずばり!
…うん。“冬季閉鎖以外の期間全て”…かな?(笑)
【…そんな野反ダムへのアクセスはこちら】

(2011年11月4日訪問)
【データ】
所在地 : 群馬県中之条町
河川名 : 信濃川水系中津川
型式 : ロックフィルダム
堤高(ダムの高さ) : 44メートル
堤頂長(ダムの長さ) : 152.5メートル
ダムカード : なし
駐車場 : あり
中之条町の一口メモ : 姉妹町は小中池でおなじみの千葉県大網白里町
【独り言】
訪れたのは11月上旬。
野反ダムから山を下った場所にある『品木ダム』あたりでは紅葉真っ盛りと言った感じだったが、
車でわずか数十分上ったこの地では紅葉も既に終え、もはや冬支度モードだったという…。
山の気候を考えれば別に珍しい事でもなく至極当然の話かも知れないが、
平野部…普段山とは接点の無い暮らしを送っている自分にとっては、
これは本当に面白い現象に思えて仕方なかった。
同じ国内と言えど、環境が違えば四季折々の長さや移り変わりも異なる。
その分、旅先では自然の織り成す光景というものを大切に目に焼き付けておきたいと思う。
そしてこの美しい記憶を後世まで伝えていければと。
…うん。そういう夢を見た気がするんだよねー。
【どんなダム?】
『そこは自然豊かな大パノラマ! …でもお高いんでしょう?』
…はい。はっきり言ってここはお高いです♪
どれ位高いかと言えば、ダム堤頂部(天端部)の標高が実に1517メートル!
これは長野県・南相木ダムの1532メートルに次ぐ高さ…すなわち、
国内で2番目に標高の高い場所にあるダムだったりします!
もうね。ダムに向かう道中、気圧の関係で耳に違和感を感じること請け合い☆
日本の霊峰・富士山で例えるなら大体1合目後半~2合目くらいの標高です!
…え?「その例えだとあんまり高く感じない」って?
いやいや。富士山舐めんなって(笑)
あ。ちなみにここは草津温泉方面から国道405号線を北上した場所にあるのですが、
この道はいわゆる“点線国道”のため、新潟・長野方面から405号線を南下しても辿り着くことはできず、
しかも南から攻めても、
ダムまでのおよそ10キロ区間は冬季閉鎖となるので見学の際は要注意だったりします。
(尚、前シーズンの閉鎖はH23.12.01~H24.04.27だったそうです)
うーん。でもこの冬季閉鎖の期間だけを見ても、
“冬が早くて春が遅い”非常に標高の高い場所にダムがあるというのがよくわかりますよね。

※天端脇にあったダム概要板
…野反ダムは1956年に竣工した東京電力が管理する発電専用のロックフィルダム
まぁ東電管理ということで周辺の雰囲気などは“大味で味気ない”感も否めませんが、(まぁ一概には言えないけど(汗))
ダムサイトにて唯一ダムの情報を得ることができたのはこちらの看板。
さて。ではこの看板を見て面白いと感じた箇所ですが、
自分としてはずばり“取水河川名”と“ダム型式”の項だと思います。
型式については後述させて頂くとしてその河川名ですが、このダムってのは信濃川水系なんですね!
…てことはここのダムの水がいずれ辿り着く場所は日本海。
群馬県のダムと聞くとどうしても利根川水系…太平洋に注ぐイメージが離れないのですが、
これは目から鱗と言うか非常に面白い話だと訪問当時は感じた記憶があります。
ちなみに野反ダムまでの道中で通りかかる『白砂ダム』、
そこから距離もさほど離れていない場所にある『品木ダム』などは利根川水系に属するダムだったり…。
ダム的な地理で言うと、ちょうどこの辺りの山腹が“北日本と東日本の境界”なのでしょうか?
いやはや。“群馬にありながら信濃川水系”…ちょっと不思議な感じもしますよね☆
(と言ってもほぼ長野との県境なんだけどね…)

※堤体(下流側)の様子
…本体表面を保護する岩はやや小ぶり。ゴロゴロと不規則に積まれたその姿は男らしさすら感じます。
こうして見るとロックフィルダムにしては割と急勾配ですよね。
このダムは歴史も古く、発電目的専用としては国内初のロックフィルダムという話です!
いやー。国内初の試みをこんな標高の高すぎる場所でやっちゃう訳ですから…、
建設当時は相当気合が入っていたのでしょうね。先人の知恵と努力にはただただ驚かされるばかりです。

※堤体(上流側)の様子
…上流面はこんな感じでコンクリートによる遮水施工がなされていました。
と、しれっと書いてしまえばそれまでなのですが、実はこれこそがこのダムの面白い所でもあったり!
一応大まかなダム型式を言えばここは(ロック)フィルダムなのですが、先程の概要板にあったよう、
もっと踏み込んだ言い方をするとここは『鉄筋コンクリートフェイシングロックフィルダム』
…実はこの工法は非常に珍しいもので、なんと国内のダムとしては4基しか存在していないそうな!
そのうちの1基である岩手県の『石淵ダム』は2013年、胆沢ダム完成に伴い水没してしまいますから、
本当に滅多に見ることはできない希少価値のあるダム型式だと思います。

※余水吐の様子
…いつも思ってるんですけど、通常のダムでは“洪水吐”と呼ばれる物が、
発電用ダムだと“余水吐”と呼ばれる(傾向にある)のは、一体どうしてなんでしょうかね?
むしろ余水吐という言い方の方がわかりやすいと個人的には思うのですが(笑)
あ。型式は一般的なゲートレス…“自然越流式”で仕組みとしては、
ここから水が溢れーの…

いったんトンネルに入りーの…

…流れーの。
…うん。トンネルの中に“異次元空間に繋がる何か”でもない限り単純に言えばこんな感じでしょう。
あと。ダムの規模の割りに水路が太い印象があったんだけど、
これは雪解けの水が多く流れてくるからなのかな?
調べてないからちょっとわからないのですが、、
冬季閉鎖されるような場所ですから、冬場の降雪というのは恐らく凄まじいものがあるのでしょう…。

※天端の様子
…天端は大型車通行不可とのことですが、
ダムの数百メートル手前に登山者用の駐車場があるのでそこから歩いてくるのが良いと思われます。
ダム周辺には登山道やキャンプ場などもあり、
天端上はしばしばハイキングなどをされている方たちの往来があります。
また。遊歩道もしっかり整備されていて、夏から秋にかけては300種以上の高原植物が咲き乱れるそうなので、
秋の行楽シーズンにはもってこいの場所と言えるでしょう☆

※ダム湖(野反湖)の様子
…野反湖の外周はおよそ12キロ。
ダム見学がてら軽い気持ちで突発的に一周歩くにはそれなりに苦労するかもしれませんが、
きちんとハイキング目的で行くならとても気持ちいい水辺の散歩を楽しめること請け合いです♪
ちなみにここはダム湖百選にも認定。
まぁ実際に見たことがある方でしたらそれも当然頷ける結果ではないかと…。
高山地の雄大なパノラマの中、悠々と水を湛えるその姿は是非とも一見の価値ありだと思います!

…さて。ここまで紹介させて頂いた野反ダム。
『群馬なのに信濃川水系』
『国内で2番目に標高の高い場所にあるダム』
『発電専用のロックフィルダムとしては国内初』
『ロックフィルダムでは非常に珍しい表面コンクリート遮水工法』
もうそれだけでもお腹いっぱい…大満足のダム見学ができた訳ですが、
それでも今回の訪問で一番印象に残ったものはやはりこの、
野反湖が見渡せる風景自体だったのではないか…と思います。
それはまさにダムという建造物を感じさせない…むしろ飲み込まんばかりの大自然の光景!
ここは機会があれば是非とも一度は訪れて頂きたいダムだと思います。
そして見頃はずばり!
…うん。“冬季閉鎖以外の期間全て”…かな?(笑)
【…そんな野反ダムへのアクセスはこちら】
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No title
群馬にこんなとこがあったのかと思ったけれど、草津のさらに奥の方なのかな。
草津もあまり行ったことないけど、ダムがあるなら行ってみたくなるっ。
なんにもなさそうなところに惹かれちゃいます。
はやく背中なおして、ダムいってください。
草津もあまり行ったことないけど、ダムがあるなら行ってみたくなるっ。
なんにもなさそうなところに惹かれちゃいます。
はやく背中なおして、ダムいってください。
ゆるびねこさんへ
こんにちわ。コメントありがとうございます☆
> 群馬にこんなとこがあったのかと思ったけれど、草津のさらに奥の方なのかな。
はい。草津から少しだけ奥の方になるかな。
ダム自体は結構小さめのロックフィルなんだけど結構味わい深いっすよ!
あと、もし行くならそんなに離れていない『品木ダム』も併せてオススメ♪
堤体自体はあまり見ることができないかもですが、
草津から湧く酸性の水を中性に変えるというちょっと特殊なダムです。て言うかダム湖マジ白いよ!
> はやく背中なおして、ダムいってください。
…まったくもってです。少しずつ良くはなってますが、現在も薬でごまかしながら何とか生きてる感じ☆
実は30日はダム巡りの計画まで立てていたのですが、それも中止という…(泣)
うん。そろそろダムに行かないと発作が出るね、マジでwww
> 群馬にこんなとこがあったのかと思ったけれど、草津のさらに奥の方なのかな。
はい。草津から少しだけ奥の方になるかな。
ダム自体は結構小さめのロックフィルなんだけど結構味わい深いっすよ!
あと、もし行くならそんなに離れていない『品木ダム』も併せてオススメ♪
堤体自体はあまり見ることができないかもですが、
草津から湧く酸性の水を中性に変えるというちょっと特殊なダムです。て言うかダム湖マジ白いよ!
> はやく背中なおして、ダムいってください。
…まったくもってです。少しずつ良くはなってますが、現在も薬でごまかしながら何とか生きてる感じ☆
実は30日はダム巡りの計画まで立てていたのですが、それも中止という…(泣)
うん。そろそろダムに行かないと発作が出るね、マジでwww