堰堤どうでしょう【豊丘ダム】

(直近訪問:2013年10月1日)
【データ】
所在地 : 長野県須坂市
河川名 : 信濃川水系灰野川
型式 : 重力式コンクリートダム
堤高(ダムの高さ) : 81メートル
堤頂長(ダムの長さ) : 238メートル
ダムカード : なし
駐車場 : あり
須坂市の一口メモ : 日本一標高の高いゴルフ場がある
ダム湖の名前は『昇竜湖』 市内の小学生のアンケートから決まったそうな。
ちなみに話は変わるが、ストⅡの自キャラはもっぱらガイルだった。
リュウもいいんだけど昇龍拳が出せない子だったんよ。 …自分不器用っすから(笑)
【どんなダム?】
『蔵造り風の管理棟が目を引く大型多目的ダム』
豊丘ダムは長野県が管理する1994年に完成した重力式コンクリートダムで、
用途は洪水調節、河川維持等の不特定用水、上水道の供給確保、管理用発電
…とのことですが、
郊外の山奥から突如現れる80メートル超級の巨大な堤体の存在感はなかなかの圧巻!
また、ダムを見物して一際目を引くのは何といっても右岸の天端脇にある管理事務所と巡視用ボートの格納庫! こちらは“蔵造り風”の建物となっているのですが、
これはダムの所在する須坂市が『蔵のまち』と言われ栄えていたことが由来と思われます。
うん。こうやってささやかながらでも地域色を出したダムはいいですよね。
ダム…とりわけコンクリートダムだとどうしても無機質で冷たい存在のように思われがちなのかも知れませんが、こういったデザイン一つからも「地域に根付いていこう」「親しんでもらおう」とする心意気は感じられます。

※堤体・下流側の様子(左岸より)

※堤体・下流側の様子(右岸より)
…ということで早速ダムの方を見ていきたい訳ですが、
豊丘ダムのロケーションとしては須坂市街地より直線距離にしておよそ5キロ位、県庁所在地のある長野市街地からも10キロ位ですからなかなか好アクセス…と思いきや、
ダムの周辺には国道や主要な県道は通っておらず、「え?“開かれたダム”のくせにこんな所を進んでいくの?」と思ってしまうような狭めの林道(途中未舗装の箇所もあり)をしばらく進んでいくといきなりドカンと現れたりします。
まさに人知れず堂々と鎮座する様相!
そしてこれが見えた瞬間の高揚感こそダム巡りの醍醐味の一つだったりするんですよねー(笑)
さて。堤体の方ですが、
さすがに堤高も81メートルということで近くで目の当たりにした時の迫力たりや凄まじいものがありましたね。
ずっしりとした重量感もひしひしと伝わってきます。
見た目はクレスト(ダムの頂上部)に4箇所の越流式の非常用洪水吐と、そのちょっと下に設けられたオリフィスゲート(常用洪水吐)が1門のみのシンプルな面立ち。
コンクリートの面積の割にオリフィスが細長く小さいので、全体のバランスとしては少々のっぺりとした感じにも見えてしまうのは自分だけでしょうか?

※堤体・上流側の様子
…そして、そんなのっぺりとした姿の反対側はこんな感じ。
下流側から見た限りそれほど感じませんでしたが、まだ竣工より20年程度ということでコンクリートも結構白くて若い感じがしますよね。
中央より右にある張り出して湖底に伸びている箇所が選択取水口です。

※天端の様子(左岸展望台より)

※天端の様子
…天端上は自動車による通行も可能。
市街地からダムサイトまでは左岸よりアプローチすることになるのですが、両岸共に駐車場があったりします。
また、天端の真ん中辺りには写真にもあるような展望スペースも。
これは上流側に1箇所、下流側に2箇所設けられていたのですが、ここからの景色もなかなかの見もの!
いやはや。こいつは訪問者にとっても嬉しい設計ですよね。

※天端より直下を望む
…ダムの真下を覗き込んでみるとこんな感じ。
規模の割に減勢工や副ダムが頼りない感じもしないでもないですが、まぁ常用洪水吐の大きさから考えてももしかしたらこんな程度が相応なのかなーって。
ちなみに水を吐いている四角い建物がこのダムの発電所。
まぁ管理用発電なので要はダムの維持管理に必要な電力を自給自足(?)してるって話なのですが、ここで発生した余剰電力は中部電力にも売られているとのことです。

※天端より下流域を望む
…こちらは先程お話した天端上の展望スペースから下流域を眺めた時のもの。
残念ながら訪問時はガスっていて満足いく眺望までは望めなかったのですが、普段は北アルプス連峰および戸隠連峰が非常に美しく見ることができるそうです。
尚、この写真でいうと真ん中のベルト状のラインが千曲川(信濃川)でそれを境に手前が須坂の市街地、奥が長野の市街地です。
うーん。天気が良くて望遠レンズ持っていったら方角的にも普通に善光寺までよく見れそうだけどどうなんだろ?

※ダム湖(昇竜湖)の様子
…ダム湖はこんな感じ。
訪問時はさながらクールバスクリンを思わせるような深く美しいエメラルドグリーンが周囲の山々、ダムの堤体をキラキラと映し出している様が印象的でした。
形は見たところ細長い感じでしょうか? 外周はおよそ2キロで車でも一周回ることができるそうです。
また。湖畔には桜やツツジなども植えられているほか、秋には紅葉の名所としても人気があるそうな…。
いや。自分は初秋の10月に行ったのですが、ここの紅葉はマジでキレイだと思いますよ! 何となくだけどそんなオーラがプンプン漂ってたもん(笑)
ということでピークは11月上旬らしいので機会があれば是非この時期に行ってみることをオススメします。

※管理事務所(左)と巡視用ボートの格納庫(右)

※Sは須坂の“S”だろうか???
…さて。最後となりますが、こちらが冒頭でもお話させて頂いた例の“蔵造り風のアレ”です。
このダムに関してはこれがもうとにかく目立つ存在と言うか…ダムサイトにたどり着いたらまず目に入ってくること請け合いでしょう。だってここだけ何故か急に“和テイスト”なんだもん(笑)
特にこの格納庫においては「うわー、無駄に立派に派手にやっちゃったなー」って(;^ω^)
でも、これこそまさに“伝統文化を思う気持ちと遊び心をとりあえず勢いで表現してみた”デザイン!(…多分違うw)
いや。自分がこういうノリ嫌いじゃないっすよ。
ちなみに格納庫の中には普通のボートが入ってると思うんだけど、
ここまできたらむしろ帆掛け舟とか屋形船が格納されててほしいよな?

※直下には公園なんかもあったりしました
…ということで以上が豊丘ダムの簡単な紹介でしたがいかがでしたでしょうか?
うん。全体を通しての個人的な感想としては“蔵造り風のアレ”が面白かったというのはさて置き、
普通に大きくて迫力満点、展望台がたくさんある、下流域の眺望およびダム湖が美しい、そして直下の公園から正面に堤体を望めるということで見物に関しては非の打ち所がほとんど無いと言うか…
ほぼパーフェクトな形でダム鑑賞を楽しむことができたと思います。
…ま、まぁ要はそれだけ居心地が良かったってことですけどね(汗)
決して有名なダムでは無いのでしょうが、たまにいきなり出くわす自分好みのダム。
こういう出会いがまた嬉しかったりするんですよねー。
いやはや。豊丘ダム…良ダムの予感がプンプンしました。個人的にはオススメさせて頂きたいと思います。
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